とぶかさなを “伝える” メッセージ 〜菜〜 | 魚や居酒屋 とぶさかな 下北沢

下北沢 居酒屋 とぶさかな 海鮮料理

魚とまじめにお付き合い

下北沢 居酒屋 とぶさかな アクセスMAP

下北沢 居酒屋 カウンター/テーブル席 下北沢 居酒屋 とぶさかなの「はなれ」 下北沢 居酒屋 とぶさかな 三年間の魚日記 下北沢 居酒屋 とぶさかな 伝える 下北沢 居酒屋 とぶさかな 歴史

下北沢 居酒屋 とぶさかな

とぶさかな 下北沢の魚や居酒屋

下北沢 居酒屋 とぶさかな

大事なことは『変わらないこと』、『変わっていくこと』。

  • 自家製サングリアつくりはじめました
  • グラスワインはじめました
  • 貝刺盛りはじめました
お知らせ

開店から20年、とぶさかなの日替りメニューは、毎日手書きしております。
近年一生懸命書いたメニューも「見辛い」「読めない」などのご意見をいただく事が多くなりました。
そして、お店が大きくなるにつれて枚数が足りない状態が出てきていました。
そこでこれからは、各お席に [本日のオススメ メニュー デジタル版] を配布いたしました。
もちろん、手書きメニューもご用意しております。
ご来店の際は [手書きメニュー] でご説明させていただき、その後は、ゆっくりと [デジタル版] でご検討ください。
尚、野菜のメニューは当分の間 [デジタル版] のみの記載とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願い致します。

とぶさかな 店主

火曜日限定!
毎週火曜日は琥珀エビスの日
はなれでしか飲めない琥珀エビス
生ビールと同じ480円でご提供!
9の付く日はくさやの日

とぶかさなを “伝える” メッセージ 〜菜〜

2010年12月31日(金)


とぶさかなの野菜1

素材力がものを言う、とぶさかなの野菜。
今回は、とぶさかの野菜にまつわるアレやコレ、新鮮な野菜の「素材力」を引き出すための試行錯誤と変遷、更にはとぶさかな「イズム」とは何かを伝えます。

-------今回は野菜について伺います。
まず、お店を始められるにあたって、どうやって「良い」野菜を「安く」仕入れるかを最初に考えられたと思うのですが、そのあたりから伺いましょう。

野菜に関しては最初は疎(うと)かったような気がします。
僕が最初に勤めていたところが仕入れていた八百屋さんにそのままお願いをして…。だからこれといって特別なものを扱っていた記憶はありません。

とぶさかなの野菜2

その頃の記憶を辿ると…当初は野菜に重きを置いていたような気はしなくて、特別に何かをしようなんて考えていなかったなという気がするんですね。だからその頃は下北沢近辺の八百屋さんを何件か回ってみて、「ここは安いけど物は良くないよ」とか「ここは変わったものが置いてあるよ」というような情報を元に仕入れていた程度で、スーパーで買ったりもしていました。基本的には必要なものを決まった八百屋さんに発注するという当たり前の流れでした。
でもなんとなく話を聞いていると、電話で八百屋さんに注文を入れたときにその八百屋さんにその野菜が足りないと、市場ではなくお店の前のスーパーで買ってそれを補足して持ってきたりしてたんですね。それで「八百屋さんでもこういうことをやってるんだなぁ」と、ちょっと疑問に思ってて、なおかつ魚のことをどんどんやっていくうちに、あまり「こじ繰り回さない」ようにして行こうという考え方が確立していって、素材そのものでなるべくイメージしたものになるようにしよう、と。
皆が「これの食べ方はこう」というようなものをより良くするために何ができるか。魚に関しての汐(しお)であったり見た目の状態だったりというのがどんどん確立していくと、野菜の食べ方も同じような考え方で行くべきなんだなと思い始めたんですね。「やっぱり茹で上げの枝豆が美味しいよね」とか、最初はそんなところからだったんですね。

とぶさかなの野菜3

「素の状態」にしよう、だったら汐はこういうふうにしようと考えてシンプルにしていくほど野菜にも比重が掛かってきて、「魚と同じようにして行くべきなんだ」と気づきだしたのが12〜3年前になります。
「食べさせ方」やシンプルならではの「素材力」に比重を持っていこう、と。
例えば、調理法で試行錯誤するという取り組み以前に、知らなかった野菜や山菜、筍(たけのこ)、椎茸などの変わった種類を扱ってみよう、というように。
それで一つの切っ掛けとなった食材が「赤茄子」なんです。
焼き茄子用のひょろっとした、九州の長茄子を品種改良したもので、「焼き」にも良くてジューシーで。これを知ったとき、つまりよそのお店で食べたときに、ホントに美味しい茄子なんだなぁと思いました。
そして早速市場で探してみると、1〜2軒でしか扱ってなくて。
赤茄子が欲しいがために特定の八百屋さんに行くようになり、更に別の八百屋さんも探すようになって…。
市場の中の八百屋さんにも色々とタイプがあるんですが、赤茄子を探していて最後に見つけた八百屋さんが新潟の出身で野菜の食べ方をよく知ってて、他にも変わった食材を置いているところだったんですね。
その八百屋さんとの出会いが一番強いきっかけでした。
その八百屋さんが提案してくれることはいつもシンプルなことばっかりなんですね。

とぶさかなの野菜4

そういった中で、例えば筍のシーズンが終わると「淡竹筍(はちくたけのこ)」といってちょっと変わった「エグ味」の少ない筍が出てきて、その後に「大名筍(でめたけ)」とか「姫たけ」が出てきたりと、筍もシーズンが終わると色々と変わった筍が出てくるようになって、それで今年なんかは「あおだけ」といって普通の筍を掘る前のタイミングで掘ったものであったりと、アンテナを張っていくとどんどん食材というものが開けてくるんですね。
これといって特別なことをやらなくても食材の方がどんどん出てくるものですから、魚と同じように季節ごとに出てくるものに対してこちらが受け入れられるかどうかという感じになってきました。

とぶさかなの野菜5

あらかじめ「おひたし」だとか「焼きもの」だとかのカテゴリーみたいなものを決めておいて、例えば「豆」カテゴリーだったら季節の「そら豆」が始まって「枝豆」になって、それが終わる頃には丹波の「黒豆」が出てきたり。そうこうしているうちに「もうそら豆が出てきたよ」みたいな感じになって。
野菜に関しては段々前倒しになって早くなってきている感じがします。魚も、秋刀魚が七月に出てきたりする時代ですから、今の市場的なものはそういうものだと思うんです。
野菜もそういうふうに、こっちから求めるというより季節のものが向こうから追い掛けてくるので、それらの中からそれぞれのカテゴリーに合った目新しいものを拾っていきます。

とぶさかなの野菜6

山菜できっかけになったのは「アイヌネギ(行者にんにく)」なんですね。それは飲食店をやっている先輩から「北海道から大量にとるので一緒にやらないか?」と勧められて始めたのがきっかけです。これは野菜そのものの力が強くて、ニンニクの香りもするけれども栄養効果が高くてニラみたいな感じです。アイヌ=北海道というよりも「貴重な」っていうニュアンスらしいんですが。

とぶさかなの野菜7

そして、アイヌネギは酢味噌で味付けしたり「おひたし」で出したりするので、今度は「他に酢味噌に合う山菜はないかな?」と探していくと「甘野老(あまどころ;ユリ科の植物の一種)」とか、漢方で使う野菜「ノカンゾウ」とか「カンゾウ」などの知らないものがどんどん市場に出てきてるのを見つけるわけです。

とぶさかなの野菜8

またあるとき、お米を扱っているところから「アケビの芽」が送られてきたんですけど、それは向こうでは「木の芽」って言うらしくて僕らの言う木の芽とは全く違うものなんですけど、向こうでも貴重だと言われているそれをもらったんです。
野菜においては特に、そういう変わったものを店に置いておくとそれが採れる地域のお客さんが見つけたときに「これはすごく価値のあるものなんだよ」というように「お客さんから教わる」ことも多いですね。
たらの芽に近くてもっと高価な山菜もあるよと教えてもらった「こしあぶら」というものを僕らは知らずに天ぷらにして出していたところ、「これは本当にお客様が来たときにしか出さないような高級なものなんですよ」というように教わって、更には「どうしてこんなものが手に入ったの?」と言われたり。
そういった、以前は珍しかったものが農家で栽培され、より入り易くなってきているので、昔の感覚とは違ってきているのかもしれませんが、価値があるものだからこそきちんと栽培されて市場に出回ってくるわけですからね。
そして、より早くそういうものの価値観を見出していくということが「とぶさかな」の体質としてできてきていることは確かだと思います。
だから、八百屋さんで言われるものを自然と取り入れているだけなのに、ラジオで変わった食材として紹介していると「それはうちではもう2〜3年前にやってた」「もう普通にやってるな」と思うようなものが挙がっていたりね。そういうことがここ何年もの流れになっていますね。

とぶさかなの野菜9

日本酒にも言えることなんですけど、野菜に関してもそれを専門にしている人達の良いっていうものを素直に受け入れることができて、自分もそれを良いと思ったり面白いと思ったりするという、共通項の広がりが大切だと思っているんです。
だからと言って僕らは野に野菜を摘みに行くわけでもないし、結局良いものを提供する一番の方法は「いい八百屋さん」が言う「いいもの」であったり「いい酒屋さん」のお勧めのお酒を素直に受け入れることに過ぎないんだと思います。

-------「先人に聞け、盗め」じゃないですが、やはり信頼できる人・お店を見つけてそれぞれの分野での知識・経験に頼るというのは、当たり前でいてなかなか実行できないものでもあると思います。頼るのは簡単でも、まず「見つける」ことが難しい。「つながり」と「受け入れる柔軟性」ひいては「受け入れることができる体制」みたいなものが重要なんでしょうね。
ところで、それまで知らなかった野菜の調理方法などはやはり八百屋さんに聞かれるのですか?

とぶさかなの野菜10

基本的にはそうですね。山菜などは特にそうなのですが、全く知らないものを八百屋さんに提案されたときには素直に「どういうふうにして食べるんですか?」みたいに聞いています。
サラダのように生で食べるものなのか、火を通していくものなのか。うちは炭火が売りなんで「焼き」の方に持って行くということは多いと思います。だから天ぷらとかあまりやらないので、汐だったりということが多いですね。「素材そのまま」なんですね。
「このエグ味がいいな」という素材も必要ですね。エグ味の旨さとか苦味とか、そういうものが旨いと思うものが結構あるんで、そうするとあまり調理をするというより素材そのままの方がわかり易くて、しかも美味しい。
年配の方たちにはそういうものが旨いっておっしゃる方が多いと感じますしね。僕が思うことなんですけど、味覚が少しずつ変化していく中で苦味みたいなものの旨さがわかってくるんじゃないでしょうか。

とぶさかなの野菜11

野菜については、もうシーズンが終わりなのか、それとも気温が下がったから出荷が遅れているのかといったことを市場が毎日教えてくれます。早く始めることと、どのあたりで終わりにするかというのは市場に行っていれば答えが出てくるので、そら豆から枝豆に変わる時期だとか、例えば「谷中生姜(やなかしょうが)」なんかは確かに早く出てきているんですが、今度は自分たちの感じている温度を、例えば「この季節だと普段ならちょっと暑いなぁ、じゃあ谷中食べてビールを最初に飲んで枝豆かな」という感じを基準にして「まだ季節的に寒いから谷中を勧められてももうちょい先だな」と止めてるようなこともありますね。

とぶさかなの野菜12

そういうことがあればだんだん市場から「だったらこれはどう?」というものも出てきて、より早くなるときもあるわけですね。「あれ?もう出てきちゃったの?」って(笑)。
筍なんかはグッと早めに出てきて、季節感が見えない感じを危惧するお客さんもいますけど、僕らとしてはあえてそれを提案して出していくということがテーマでもあるので、「あっ、こんなときに出てきた。じゃあこれをやってみよう!」ということはあります。 どうしても温度が下がったらやりたいものとか、暑いからやらない=さっぱりさせるものがいいといった温度感が必要な物もあるので、そういう判断は僕ら自身でやります。「自分が食べたい」と思うものは常に一緒なんだけど、市場の状況や季節感を考慮した上で、どうしてもこの季節にならなきゃ出てこないというものもありますので、どう織り込ませるのかという兼ね合いですね。気温が高くなって葉物が高騰するといったことはどうしてもありますし。
また、年配の方が栽培されて運ぶのに労力が少ないものということで世相的にミニ野菜みたいなものが多くなってきているような関係で小さい野菜が流行ってきています。僕らとしてもそういうものは食べ易いので大歓迎という部分です。

--------仕入れに関しては毎朝魚と一緒に?

とぶさかなの野菜13

若い頃で、父親が仕入れをしているときは、市場に車を止める時間という制約があったんで、僕は外から行って場外を歩いて赤茄子を探したりという感じで何件か回る時間がありました。
今は僕にも時間的な制約がありますが、もう八百屋さんとの信頼関係もできているので、そこへ行ってこちらの要求するニュアンスを伝えておいて、次回また仕入れておいてもらうということもあります。
今だと、「絞りもの」のグレープフルーツだとか季節の果物といったもので、「デコポンのような絞り系・柑橘系のものを探しておいて下さい」と言っておくとか、そういったカテゴリー的なものの一つとして探してきてもらうということはありますね。「こういうことにしたいので何か面白いものがあったら探しておいてもらえませんか?」というようなニュアンスで。地方に行ったときに手に入れた気に入ったものを持って行って「こういうものは出てませんか?」とか。

とぶさかなの野菜14

広島に行ったときにごく普通の居酒屋さんで出てきたレモンサワーが、そのお店の近くで取れるレモンで作ったものだったんですけど、「あっ!」と思ったんですね。一般的にレモンと言えば輸入モノで、それがずっと当たり前になってたわけですよね、何の違和感もなく。それで、国産レモンか!と。結構、国産使おうよっていう風潮はあると思うんですけど、国産レモンでというのはなかなか思いつかない。国産でという風潮であるにもかかわらずそこに気づかない。
じゃあ国産レモンの季節はいつなんだろうと考えるわけです。普通レモンというと年中出回ってるものじゃないですか。だからそんなことも知らなかったなと思って探していくと秋口のものだったんで、いつ頃までしかないとか今度はここのものが出てくるとかがわかるようになってきて、市場でも「出てきたらうちでも扱うんでお願いします」と言うようになってきたんですね。そうすると向こうからも「出てきたよ!」と声がかかったり。
やっぱり普通に生活していてサラッと流してしまうこと、トマトなんかも当たり前に売ってるものを改めて考えるということはなかったんで、そういう事も気にしなきゃいけないんだなぁって思いましたね。
しかし、もちろん割高ですし、傷みも速いし、それだけ手が掛かります。そしてレモン自体に特別な訴求力はないかもしれないけど、農薬的なことであったり、ものに対する信頼度ってことを思うと、やっぱりこういうことも求められてることなんじゃないかなって。

--------そういうのはメニューなどでもアピールされているんですか?

もちろん、「国産レモンサワー」「国産レモン割り」と謳いますね。
ただし、年間を通して出るものではないですからメリハリとしては言うけれども、常に、というものではないのでね。
柑橘系のものでも季節によって出回らないもの、「すだち」や「かぼす」なんかがあるので、どうしてもレモンに頼らなきゃいけないところがあって、そのへんが年間を通してというわけにはいかない、「メリハリ」として提供せざるを得ないところですね。

--------東京の市場では日本全国の大抵のものが手に入るものなんですか?「それはちょっと無理なんだよ」みたいなものもあるんでしょうか?

とぶさかなの野菜15

ある程度のものは入りますが、ウニなんかは西の方に行くとちょっと種類が違うんですね。
淡路(瀬戸内海東部、兵庫県に属する島)の方や徳島の方で採れるウニはちょっとフルーツっぽいような、甘みがサラッとしたような、そんなウニがあるんです。
で、裏表っていうとわかりにくいですけど、北海道のウニはオモテを向けて置いてあるんです。だけど西のウニは反対側を向けて薄箱に入れて並べてあるんです。それが結構量が少なくて値段が高い(笑)。
それを市場で探していて、季節がずれてきたとかでたまたま無いときがあったんですね。やっぱり市場価値的なもので見合う値段にならないということで、仲買の人も多く売れる自信がないからその値段じゃ仕入れないんですよね。だから、逆に多く入ったときなんかはグッと値段が落ちてて、そういう日は買うんですけど、やっぱりそういう日は続かない。

とぶさかなの野菜16

そういった仕入れ値の関係で来なくなるものもあるし、富山の方のエビなんかは富山の市場に上がって夜にはもう頭が黒くなってるんですって。だから朝のうちに処理して頭は茹でて、身は甘エビやボタンエビのように使うんだけども、頭は処理してしまって寿司ダネの方に並ぶんですよね。で、そのエビはやっぱりそういうものだからどうしてもその地域にしか出ない、なんて話を聞きますね。だから欲しいと思って聞いても、どうしても入手が難しかったりと、スピード感があるものっていうのは結構難しいものがあります。
同じものであっても名前が違うものがあったりもするので、野菜でも魚でも、そうやって聞くというのは心掛けていますね。
市場の八百屋さんに伝えるのに今では写真を撮ってきて「こういうのない?」って聞く方法もありますし、それでお互いに「ちょっと調べてみますね」なんてことになって…。レモンのときも八百屋さんも調べてくれて意識してくれるようになったりするんで、相乗効果になっていると思うんですよね。
地方に行けばもっと鮮度がポイントになっていて、北海道のおでん屋さんに行けば大根であったり三つ葉であったりというのは農家との近い距離感があってこそのものなので、そのあたりは僕ら東京では太刀打ち出来ないところもあります。
僕は世田谷の方なので、オープン当初はそっちの方にある農家で採れた野菜を出してたこともあったんですけど、それは「小さいお店で少ない量を」という頃は良かったんですが、大きくなった今ではある程度の量を確保するにはなかなかそれだけじゃ難しいっていうのはありますよね。
お米も、最初のうちは普通のお米をやってたんですけど、そういった流れに沿ってきたに過ぎないわけで。

--------これまでのお話で、流通経路を確保しているということはわかりましたが、ではそれを実際にお店で提供していて、仕入れの量と言いますか「今日はこんな天気だからこれぐらい入れとけばいいかな」とか「昨日はこれがよく出たから多めに仕入れておこう」とかいう調整は社長がご自身で判断されているんですか?

とぶさかなの野菜17

それで思いつく話があって、いつも野菜を仕入れている八百屋さんのお父さんが商売人だなって思うのは、僕が仕入れたい量が 5 だとすると、「10 持ってく?」と、必ず必要以上の量を勧めてくる(笑)。「いくつ持ってく?」じゃなくて(笑)。5個しかいらないのに「10個持ってきなよ」みたいな(笑)。下手をすると「15個持って行きなよ」ぐらいの感じ。で8個ぐらい買うんですよ(笑)。

--------結局多目に買わされちゃうんですね(笑)。

そう(笑)。それで、「あぁ商売人だなぁ」と、それが面白いんですよね。
こちらとしては、大抵その量だと売れるかな?なんて自信がなかったりしてるわけで、最初にちょっと少な目を言ってるんですよね。そうするとその上を言われるんで、中をとって8とか言ってるんですよ。
でもその量を持つと「頑張らなきゃ」ってことになってそこに売り方のポイントが置かれるんで、メニューを強く書いたり赤線引いたり太く書いたりというように力を注ぐことになります。
そうすると逆に5個だとすぐ売れてしまって、10入れときゃ良かったなみたいなこともあるわけです。
だからその八百屋さんのお父さんにはいつも単に注文を聞くんじゃなくて商売をしてるなぁって思うから、こちらも楽しいんですね。
ちゃんと食べ方も教えてくれるし、「こうすると旨いんだよ!」っていうことの表現も上手で。「これ安いと思わない?」「タダみたいなものなんだよ」って。「でもお金取るじゃない!?」っていうやりとり(笑)。

とぶさかなの野菜18

僕らはそういう市場の売り方の「熱」を持ってくる、お店に引っ張ってくる仕事なんですよね。だから、ディスプレーも「もっと目につくように置きなよ」「このままじゃ活きてないじゃないか」「この野菜は寝てるより立ってる方がいいじゃないか」とか。
「どういうふうに見せたらこれが美味そうに見える?」ということはずっと言ってますね。野菜も魚と同じようにね。外国のお客さんが来て、メニューではなくて実物を指差して決められる店として重宝されているポイントはそこだと思うんですよね。
野菜のケースもあるし、「今日の目玉」みたいな目立たせ方、そのへんがうちの生命線でもあるので。
しかし、いかんせん最近それが多くなってきて(笑)、これも目立たせようこちらはどうかということが多くなってきてて、今までだったらそれが3〜4品しか無かったものが今は野菜だけでも結構種類があるんで、それを整理していかないと。
また、カテゴリー的にかぶってるものはどちらかに絞るというような売り方をして行かないといけませんね。
本来は同じ要素のものが複数ある必要はないはずですから。
もちろん「選べる」っていうことも必要で、僕らはどうしても絞って「これ一本」とした方が売り易いと考えるんですけど、本当は何種類もあってそこから選べるっていうことの方が、「売れる」ということに関しては大切なことだと思います。
だからいつも「焼き魚はこれ一点」とかじゃなくて煮魚はこれこれ、高級なものはこれこれ、今日のサービスはこれこれ、季節のメニューはこれこれ、この中から選んで下さいといった選択肢があった方がいいと思うんですよね。野菜は特にそれがあると思うんで、どんどん品数が増えてる(笑)。

--------絞るのか選択肢を増やすのか、難しいところなのですね。
先程の市場のやり取りの話ですが、市場の方に「昨日勧められて多く買っちゃったけどお客さんに喜ばれて、よく出たよ」なんていうフィードバックをされることはあるんでしょうか?

もちろん!

--------やっぱり市場の方も喜ばれますか?市場の人にとってはなかなか自分のところから出た素材が「売れている場」を見る機会はないと思うんですけど。どういうふうに使われているのかといった興味もあるかもしれませんし。

そうですね。ですが、市場の人もたくさんのお客さんの数を持っていますから、その中でも売り手が八百屋さんの思いに沿ったことをしているかどうかっていうところの匂いはある程度は分かるじゃないですか。
やっぱり市場の人達もそのあたりをもっと分かろうとして、今は僕らみたいなこのくらいの規模のお店でも見に来る人は見に来ますね。それで自分の扱っているものがどういうふうに使われているとかいうことを認識している人たちは、やっぱり強いですね。もちろん、たくさんのお店の数があるから全く行かないよって言う人もいますし。

とぶさかなの野菜19

さっき言った八百屋さんなんかは僕ら世代の若い社長の代になってるんですけど、最初にお付き合いが始まって取引があって少し経った頃には一回お店に来てますね。若いからかなと思うと、他のところの魚屋さんなんかでも父親世代の社長なんかもやっぱりきてますね。なかなか築地の人たちが来るというイメージはないんですけど、やっぱり来て「おたくはこのアジは握り寿司にも使うからこのサイズじゃなきゃダメだね」ってことを言って帰っているので、後日こちらから品揃えのサイズなんかを聞くときにもそういうことを言われたりしますね。「おたくじゃこのサイズはダメだと思うよ」なんて忠告をしてくれるときもあります。
だから、そういったやり取りは必要だと思いますね。

--------スーパーなどではそういったフィードバックというのはほとんどあり得ないですね。

市場の人にとっての一番の褒め言葉というか、期待に応えるという意味では、8買ったものを次の日に行って10買えるかってことだと思うんです。

------「やっぱり5でいいです」では申し訳ない感じになってしまいますね。

もちろん、「売れたよ」という報告でもあるんですが、「売ったよ」というのもあるんです。「だから今日は負けてもらえるかな?(笑)」みたいなこともあるし、売れるってことがわかれば「じゃあ箱だったらいくら?」みたいなこともあるわけで。そうやって関係性が続いていくんですね。それで、箱買いになったらなったで、こちらとしても部位によっての使い方などの段取りを作ってしまえば、後は良い物を効率良く提供できるようになるわけです。
例えば「ウド」なんかだと、元々は本体の部分しか使い方を知らなかったけど、芽の方は天ぷらにしたり、「新潟ではきんぴらにするんだよ」といったことを教わって、どんどん成長していっている感じですね。
酒屋さん、八百屋さん、器を作っていただいている先生にも共通することとして、「どんどん盛り上がる要素を教わっている」ということがあります。なかなか自己発信だけでは盛り上がれないと思うんです。「面白いね!」って思える要素を教わる。
面白いって言うからには、値段が予想外なのか品物が珍しいのか、そこに何かがあるわけですよね。何の価値があるのかというのを自分で判断するというのはもうコツが必要なんですね。それがとぶさかなの「イズム」なんだっていう認識です。
店のスタッフがそれが出来ないと意味がないんです。

とぶさかなの野菜20

僕が買ってきたものについて、何故買ってきたのか、何で盛り上がるのか。下らない理由であったりすることも結構多いわけですよ。語呂合わせ的なものであったりとか、大したことが無いこともあるんですよ。
でもこれが年間300日以上営業している中で何で盛り上げるか、どうやってモチベーションを上げていくかと考えると、答えはもう「素材」しかないわけですよ。新しい素材や良い素材や屋面白い素材と出会わないとモチベーションが上がらないわけですよ。
だんだんやればやるほど知識は増えるじゃないですか。それで、スタッフも「そんなの知ってる」ってなって行くんですよ、どんどん。前に使った素材はもう知ってるから、そんなに盛り上がらなくなるんです。それが一番の落とし穴なんですね。盛り上がらない。それじゃダメなんです。
逆に、どうやって自分が盛り上がるかっていうことを探すということが身についていれば、心配はいらなくなるわけですね。何かを自分で探し出せるようになれば、自分の商売に還元できるようになるわけですから、お客さんも熱を感じて面白いお店になって、それが続いて行くわけです。
ある一定の時期にある素材を知り、それが自分のものだと思っていると、単にひきだしを出しただけで終わってしまいます。
お客さんに対して上から目線のように「こんな変わったものがあるけど、どう?」となってしまうと、それが当たり前になってきたり。

------手当たり次第にブームを追いかける感じになってしまう…。

そう。マスコミで流行ったりしたものでも結局なくなっていくものもありますから、自分から新しいものや面白いものを探すという姿勢が身についていないと、盛り上がりがどんどんなくなって行ってしまうわけですから。
魚においてもお酒においても野菜においても、ポイントはそこだと思うんです。酒屋さんで「この売り文句が今のポイントなんだ」というのがわかれば「これで行こう!」と。今までは辛口辛口と言っていたものが、「芳醇」という言葉が出てきたり、「旨み」だとか。
そういったことを自分で拾い上げることができるようになれば、それに対してテーマを持って品揃えをして行って、お客さんに提供するということが出来るようになります。そうすれば、それで一つの小さなブームが出来るんですね。
僕らは燗酒であったり、古酒であったり、そのときそのときで盛り上がる要素を作ってるんですね。ちょっとぬる燗にしたり、冷ますとこんなに違うっていうのを提案すると盛り上がるわけですよ。
そういう「あっ!」と思わせるテーマみたいなものがあるとモチベーションも維持できるんです。うちで本当にやらなきゃいけないことは「面白いですね!」とか「こんな面白味があるんだ」ってことを身に着けるということ。そんな人が、うちの「イズム」が出来てる人だと思うんです。

--------アンテナを張っておかないといけないということですね。

そうです。「面白い!」と感じるアンテナさえ張っておけばコンビニに行っても拾い上げられることはいくらでもあるんですね。
僕も子供が小さいときに食べに行くことも少なくなるし、夜ご飯も子供メニューになってきたりする。時間がないからコンビニのおにぎりで済ませてしまうなんて日もありました。でも例えばコンビニのサンドイッチなんかで「具が大きい」とか「具だくさん」なんていうのが出てきたときに、実は僕もそういうのを考えてたんですね。で、実際それが目の前にあったときに「あっ、これだ!」となるわけです。この要素を増やしてやれば人は喜ぶんだ、とパッと答えが出てきたわけです。コンビニほどそういうことを考えているところは無いわけで。
そのときに、アンテナさえ張っておけば大丈夫なんだと思いましたね。この「求めてるもの」を忘れないようにすればいいんだと思って、数少ない他店研究の時間や地方に行く時間には、拾い方というか、この要素をハッキリさせておくようにしてるんですね。
同じように行っている人間は確かに何人もいます。でもそういったメニューをやり続けているのがうちなんですよ。みんな行ったすぐは「これ面白いね」とか言ってポンポン採用するんだけど、それをやり続けて「自分のメニュー」にしているというのは、うちは多いと思います。
感動や面白いものを形にして続けるということに重きを置いているので、それがうちのメニューになって行くんですね。
そういったワクワク感や形容詞的なもの=商品の冠は何なのかということを常に探してるんですよ。それは例えば「国産」レモンであったり、「太いよ」「長いよ」「珍しい」「見たことない!」とか(笑)。

--------フラッとコンビニに入っただけでは頭の中が「うちは居酒屋なんだからここで吸収できるものはないや」といった前提になってしまっていて、なかなか自分のアンテナには引っかかってこないですよね。コンビニに行ってもどこに行っても「おっ!これは?」と考える視線を持っているだけでいろんな所に転がっているものを自分のところに引っ張ってこられる、ということですね。

お米についても、何故お米にこだわるのかって言うと、自分で精米したかったんです。ガラがついてるやつを毎日精米機で精米するんですが、「それが鮮度なんだよ」と、お米を扱う人に言われたことがあったんです。

--------野菜と違ってお米は毎日仕入れるというわけには行かないと思うのですが、そこはどうやって素材力とかスピード感というものを創出されているんだろうかと思っていました。なるほど、精米、ですね。

よそに勤めているときは、それこそお米も「スーパーで安いところを探してこいよ」ぐらいのことを言われていたんですよね。そしてあるとき、米不足のときがあってスーパーでお米がなくなって緊急輸入されたタイ米しか置いてなくて、米屋に買いにい行っても売ってくれなくてというときに、「あぁ、お米はキッチリやりたいなぁ」と皆思ったはずなんですね。
★編注:【1993年米騒動】←クリックでWikipediaが開きます
で、僕が自分の店をオープンしたときは自分ちの商店街の、小さい頃から遊んでもらっていた馴染みのお米屋さんで買い始めたんですが、農業高校のお米というのがあったんですね。農業高校の生徒さんたちが作っているお米で「たまに石が入ってたりすることもあるんだよ」というような(笑)。でも、これって面白いなと思ってそれを使うようになったんですね。
それが発展していって、「お米の鮮度ってちゃんと毎日食べる量を精米して炊くことなんだろうな」となっていった。
で、丁度うちのお客さんで新潟の人がいて、お兄さんがお米を作っている、これから先のことを考えると東京の方にも出したいんだっていう人がいらっしゃって、「では年間何俵」というお約束をして始めたんです。それがまた流れが変わってきてて足りないぐらいになってきて、もっと欲しい、と。でもそこはお米をそんなに作れないということで、今度は量がちょっと限られてくるということで、途中からその人の奥さんの実家の方の岩手のお米になったり…というのがこの何年間かの流れだったんですね。

とぶさかなの野菜21

また、減反などでもっと量が少なくなるかもしれないっていうので、今度はうちでバイトをしていたロックをやってた(笑)男の子が結婚して山形に戻って、おじいさんと一緒に米作りをしてるんです。そういった縁で、そこのお米を頂いたり買ったりしてたんですね。それが年間を通して提供することもできるっていうことになったんで、来年からはそちらに替えようとも思ってるんですけど。
また、お米って精米したそのままボンと出してる感覚があるじゃないですか。でも新潟の人に言わせれば「精米したお米は冷蔵庫に仕舞ってるよ」「お米って結構鮮度があるのよ」ってことを言われたりして。
田舎が実家の人から「食べる分だけ精米する」「お米を売ってるところの横に自動でできる精米機があってそれを使ってるのよ」なんて聞くと、僕らもその形にしたいなと思うわけです。
そうして今では、前日精米して次の日の朝炊くという流れになってきています。

--------やはり違うものなのでしょうか?

全然違いますね。今おにぎりもやってるんですけど、お米の違いで単純に活きてくるんです。おにぎりに関しては力が発揮されますね。
そうすると今度はおにぎりにはスジコがいい!と考える。スジコは塩気のものなんで、今度は旨いスジコを探してくると、それがもうひとつの商品になってしまうんですね。コンビニより大きめのおにぎりですよって紹介するんですけど、大きいんですよ。お子さんなんかだと分解して食べたりしてますけど(笑)。小さくてかわいいおにぎりじゃなくて大きいおにぎりで、中からスジコがポロッて出てきたりするっていうのが商品的にすごく面白いんじゃないかと。
ずっと昔、コンビニのおにぎりではツナマヨと鮭と焼きたらこぐらいしかなかったところからスジコのおにぎりが登場してきた出始めのときに「やられたな」って思ったんですね。もちろんその頃はなかなか美味しいスジコはありませんでしたが、子供の時に食べたスジコのおにぎりの美味しさを思い出して「あー、やられた」って思いましたね。だからスジコのおにぎりをやろう!と。
でも、スジコのおにぎりって置いておくと赤い色が出たてきたり、あまりお弁当とかには向いてないんですね。だから実家でもその場で食べたり、ちょっと食べるときにスジコを使う。
そんなのは青森の方の人からすると当たり前のことみたいで、「昼頃食べるともう赤くなってるんだよ」なんていうのはよく聞いたりしたんですよね。
だからスジコのおにぎりって、温かいご飯で握ってすぐ出すにはすごくいいなぁって思って、美味しいスジコと美味しいお米の組み合わせでやってるんですよ。
そうすると今度は「海苔はどうしよう」となってくるわけで、どんどん引っ張られてきちゃうんですよね。
まだまだヒントはあるんでしょうね。それは日頃からアンテナを張っておくとか、面白いものを見つけ出そうとする注意力とかにかかってくるわけです。もちろん、それに対して「あぁ美味しそうだな!」って言ってくれるお客さんがいるかどうかが重要ですよ。

--------実際にお客さんが喜んでくれるかどうかを判断するということが重要ですね。押し付けではなく、お客さんが欲しがっているもの、共感してくれるものを予想して提供できるかどうかという。

それが僕らの仕事なんだっていうことさえわかっていれば、答えは回転寿司にもあるし、高級なところじゃなくてもヒントは至る所にあるんですね。
ただ、それを突き詰めていくとやっぱりお寿司屋さんや長年やっているお店はやはり理に適ってることをやっているということもわかってくるわけです。筍とメバルは旬が同じ時期だから炊き合わせで出てくるとか、わかめと筍の組み合わせとか、新ごぼうにはこの魚といったように、その季節感などで理に適っているものが合わさっているわけですね。

--------偶然とか「テキトー」な組み合わせではなく意味があるということですね。

よくね、スタッフに賄(まかな)いなんかを作らせてもテキトーな組み合わせになっていることがあるんですよ。テキトーに余っていたのでこれとこれを組み合わせました、と。
なかなか上手い組み合わせってないですよ。だからこそ理に適ったことを理詰めにやるという追及はやらなきゃいけないと思うんですよね。僕が個人的に「○○と◇◇の△△風」が嫌いなのはあまり理に適った組み合わせではないものを無理やり合わせていて、しっくりこないからなんです。
うちでは変な組み合わせや突拍子もないようなことはするなと言っています。「じゃあこれとこれを組み合わせた理由は?」と聞いたときに理由がなくて、単に余ってたとか目についたからとかいう程度のことでは駄目だと思うしねぇ…。サラダなんかの組み合わせも、なんでこのドレッシングなのかっていうことの「繋がり」が理に適ってないといけない。
こういったことが「探し方」のポイントだと言ってるんですね。
そういったことについて卓越した人が何かをやったら旨いものができるかもしれないですよ、天才料理人みたいな人がね。だけど僕らは違うんで、理に適ったもの、なるべく相性の合ったものを組み合わせて行けっていうことを言っています。
その相性っていうのはやっぱり勉強というか生きていく上で必然的に携わってくることじゃないですか。そういったものの組み合わせだと思うんです。
だからどこへ行っても、オーソドックスなものは何だろう?と考えます。スタッフには「何でも屋」じゃなくて「オーソドックスなもので美味しいという店に行きな」って言うんです。この「もの自体が美味しい」っていうところ。それに対してこの「もの」に付随しているものは何かを見ろと。
大抵理に適っているものなんですよ。それをセットにすることがセンスなんですよ。前に言った「辛み」のセンスと同じで、セットしてあるもの、それがセンスなんですね。

--------う〜む。でも、センスはなかなかマニュアル化できるものじゃないじゃないですか。経験した上で知識として蓄えていかないと。なかなか難しい。後継者を育てるという意味でも。。。

はい。だからこそイズムを学んでおくべきなんですね。今日お話ししたような感覚さえわかっていれば自然と拾ってこれちゃうから。

--------「この食材はこれとこれを組み合わせる」ということ自体を身につけるんじゃなくて、そういったものを見つける感覚を養っておけば、あとは経験と知識の上積みで自然とついてくる、と。

そう。で、行く店もそういうところををチョイスする。どういったことを観察するためにどういう店をチョイスするかという姿勢で。
だから、地方へ行った時はそれに対しての答えがいっぱいあるんですね。産地の名産というように食材が限られていれば、それに対しての組み合わせというのが必然とあるわけです。
変なところに行くと、突拍子もないことで驚かせようというようなところがあったり、何とか新しい食材を売り出そうとするあまりグチャグチャにしちゃってるところもあるんですよね。そういうところではなく、「そういう素材を自然と食べてたよ」みたいなところに行くと、答えがパッと出てくることが多いんですよね。
グチャグチャにして名産にしようとして、何にでもその食材が入ってる、みたいなのがあるじゃないですか。アイスまでそれが入ってる、みたいな。
ついこの前まで、そこに「ウスターソースあります!」って貼っておいたんですよ。
その洒落がわかる?っていうところなんですよ。

--------????

ある世代、うちの親父ぐらいの世代になると、何でもウスターなんですよ。トンカツソースの方が旨かろうが何だろうが、ウスタードクドクっと(笑)。

--------ありますあります(笑)。

僕は醤油をかけたりとかの提案をするんですけど、もうウスターなんです(笑)。ある一定のライン、世代から、決まってるわけですよ。だから僕らはこの世代かなって思うと「ウスターソースありますよ」って言うんです。すると「あー、ウスターちょうだい」となるわけです。
で、それがわかっているということが面白いってことがわかる?と皆に言うんですけど、なかなかわかんないわけですよ。でも「この世代からウスターだ」って思ったら面白いんですよね。

--------実際見ているとその世代のお客さんが「ウスターちょうだい」って言うんですね(笑)。

そう。そういうのって、例えば僕らの世代が抜けてしまうと若い人たちはウスターの存在の意味が解らなくなったりするじゃないですか。

--------「ウスターってそんなに美味しくないから出さなくていいよね」ってなったりして(笑)。味じゃないよと、「ウスター」なんだよ、と(笑)。

そうです(笑)。確かにいろいろ変わったソースや高級なソースがあるんですが、B級グルメじゃないけれどもホントに食べたいと思うものはウスターソースみたいなこういうものだったりするんだ、っていうことは洒落のアンテナの一つなんですね。
居酒屋っていうのはそういうことが自由にできる場所なので、それを判断できる感覚が必要。
勿論、若い人の中では若い人なりのそういうものが出てくると思うんですよ。だけどそれが居酒屋で許されるかどうかをちゃんと判断しないといけない。
お通しで駄菓子を出すお店があったりするんですが、それはそれで面白味はあるんですが、僕らの下の世代はそういうことがやりたいって言ってたりしたことがあって、僕自身も面白いなぁって思ったんだけれど、やっぱりお菓子は違うんだよというのが僕の中ではあったんですよ。
ただそういうことの試みは世代が違ってもあって、若い世代の人達が何かをしたいっていうときにはその世代の何かが出てきてて、例えば小さいときこんな食べ方したねとかいうものがあるはずなんですよね。
その世代が受けることをやるという、ある意味僕らがリーダーなんで。年配の人にウスターソースや辛みをつけることを勧めると、「気が利いてるな」となるし、そのお客さんが「辛子ない?」って言うときにそれが付いてるかどうかというのが大切なことだと思うんですよね。こういうふうにして食べさせたいということに関して。
僕は60代でも70代でもないけれども、40代から上の感覚に合わせられるから、それくらいの年配のお客さんでこの店が成り立っているという構図を意識しているんです。それらのお客さんを満足させるためには、まず僕を満足させるようなものじゃなきゃ通用しないって思ってるわけですよ。賄においてもね。
そうすると洒落の利いたものが出てくるんじゃないかなと思いますね。

-------- 編集後記 --------
後半だけ先に読むとウスターソースがどう野菜とつながるのか見えないかもしれませんね(笑)。
確かに、最初に収録した音声を文字起こしした時には、本文後半は『イズム』といったページを作って切り分けることを提案しようかとも考えました。
しかしインタビューを通して見てみると、良い素材を美味しく提供することに対して日頃からアンテナを張っておくという「とぶさかなイズム」が、野菜選びの根底にも脈々と流れているのがわかりました。
これはもう分割できないな、と(汗)。
そんなわけで非常に長くなりましたが、ほとんどカットすることなく全編を収録させていただきました。
ある種メインではないはずの、とぶさかなの野菜についてのインタビュー記事の単なる1ページに過ぎないはずだったのですが、これまでの「伝える」の中では最も核心を衝いたものになったと、編集者自身自負しています。
御拝読有難うございました。


JUGEMテーマ:居酒屋
JUGEMテーマ:とぶさかな

下北沢の魚や居酒屋 とぶさかな

お知らせ

オーダー組み合わせ料金例を掲載:
「こんな感じのオーダー組み合わせでこれぐらいのお値段」という例をご紹介!
とぶさかな定番メニューとオーダー料金例

焼物ラストオーダー時間改定:
これまで22:30だったものが他の食物と同じ23:00になりました。
とぶさかなの使い方→こちら

定番メニュー

下北沢 居酒屋 とぶさかな

居酒屋 とぶさかな

居酒屋 とぶさかな

居酒屋 とぶさかな

下北沢の魚や居酒屋とぶさかな

下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月10日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月11日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月12日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月13日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月14日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月15日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月16日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月17日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月18日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月19日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月20日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月21日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月22日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月23日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月24日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月25日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月26日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月27日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月28日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月29日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月30日| 下北沢にある魚や居酒屋とぶさかなの新着情報1月31日| 下北沢の魚や居酒屋新着情報2月1日| 下北沢の魚や居酒屋新着情報2月2日| 下北沢の魚や居酒屋新着情報2月3日| 下北沢の魚や居酒屋新着情報2月4日| 下北沢の魚や2月5日| 下北沢の魚や2月6日| 下北沢の魚や2月7日| 下北沢2月8日| 下北沢2月9日| 下北沢2月10日| 下北沢2月11日| 下北沢2月12日| 下北沢2月13日| 下北沢2月14日|